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『からたち』
ふりがな文庫
『
からたち
(
)
』
その時分に、まだ菊人形があったのかどうか覚えていないが、狭くって急な団子坂をのぼって右へ曲るとすぐ、路の片側はずっと須藤さんの杉林であった。古い杉の樹が奥暗く茂っていて、夜は五位鷺の声が界隈の闇を劈いた。夏は、その下草の間で耳を聾するばかり …
著者
宮本百合子
ジャンル
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆
初出
「文芸春秋」1939(昭和14)年6月号
文字種別
新字新仮名
読書目安時間
約4分(500文字/分)
朗読目安時間
約7分(300文字/分)
作品に特徴的な語句
皁莢
(
さいかち
)
突嗟
(
とっさ
)