藤の花ふじのはな
私は五六歳のころから齒を病んだ。そして十歳の春、私の村にない高等小學校に入るために、村から十里離れた或る城下町の父の知人の家に預けられ、其處でも一二年續いて齒痛のために苦しめられた。 預けられた二三軒先の隣に鈴木の健ちやんといふ仲よしの同級 …
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藤の花 (新字旧仮名)原民喜 (著)