揚代あげだい)” の例文
取するばかり手短てみじかの話が先斯した處だ何れなりとも御望み次第どうだネ旅のしう其懷ろは御前が彼の飯盛の揚代あげだいはらふ時篤と見て置夫故跡を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これ岩亀楼がんきろう娼女しょうじょ洋銀三枚の揚代あげだい(この事文久三年板『珍事五ヶ国横浜ばなし』に出づ)にて異人館に招がれたる処なるべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
困果とごうと、早やこのていになりましたれば、揚代あげだいどころか、宿までは、杖にすがっても呼吸いきが切れるのでございましょう。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一人は石を切り終って揚代あげだいを代償さると心得てつ内、文なし漢は両人承引の上はわれここに用なしと挨拶して去った。
揚代あげだいガ十七両タマッテ、吉原ノ茶屋ガ願ウト云イオッテ困ッタガ、フダンカラ誰モ世話ヲシナイ故、オレニ頼ンダ、オレハ昨今ノコトダカラ知ラズ、金ヲ工面くめんシテ済マシテヤッタガ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ただには置かず揚代あげだい請求の訴を法廷へ持ち出すと、ボッコリス王、ともかくもその男にトが欲するだけの金を鉢に数え入れ、トの眼前で振り廻さしめ、十分その金を見てたのしめよとトに命じた。
当時売女の相場、新吉原なかちょう角海老かどえび筋向すじむかいあたりにありし絵草紙屋えぞうしやにて売る活版の細見記を見ても、大見世おおみせの女の揚代あげだい金壱円弐拾銭にて、これより以上のものはなかりし。以て一般を推すべし。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
病毒少くして揚代あげだいやすければ醜業婦の能事のうじおわるなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)