我児わがこ)” の例文
旧字:我兒
地獄の口のいた中から、水と炎の渦巻を浴びて、黒煙くろけむり空脛からすねに踏んで火の粉を泳いで、背には清葉のまましい母を、胸には捨てた(坊や。)の我児わがこを、大肌脱おおはだぬぎの胴中へ
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのうちにお豊は殊更元気よく歩いて行く金ボタンの学生を見ると、それが果して大学校の生徒であるか否かは分らぬながら、我児わがこもあのような立派な学生に仕立てたいばかりに
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何よりも先に考えるのは我児わがこの事だ、ここまで来ると、ルンペンも華族もタダの人間だ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
雪中の死骸しがいなればいけるがごとく、見知みしりたる者ありて夫婦ふうふなることをしり、我児わがこをいたはりて袖をおほひ夫婦手をはなさずしてしゝたる心のうちおもひやられて、さすがの若者わかものらもなみだをおとし
あとに我児わがこの靴のおと。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
うちにおとよ殊更ことさら元気よく歩いてく金ボタンの学生を見ると、それがはたして大学校の生徒であるかいなかはわからぬながら、我児わがこもあのやうな立派りつぱな学生に仕立てたいばかりに
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
我児わがこ危い、目盲めしいたか。罪に落つる谷底の孤家ひとつやの灯とも辿たどれよ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我児わがこの手からすと離れ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
我児わがこぞ病める。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)