志摩しま)” の例文
志摩しまが國立公園と極まり、この横山が其樞要な場所になるものとして、此等の人々は其日を待つてゐる事が話の模樣から分つた。
横山 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
吹田村すゐたむら氏神うぢがみの神主をしてゐる、平八郎の叔父宮脇志摩しまの所へ捕手とりての向つたのは翌二十日で、宮脇は切腹して溜池ためいけに飛び込んだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そのうちに文字の読める子供が俗名しまという祖母の名を見つけだし、その祖母の生家が志摩しまという姓であることと思い合せて大発見をでもしたようにいった。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
ここで近畿きんき地方というのは便宜上、京都や大阪を中心に山城やましろ大和やまと河内かわち摂津せっつ和泉いずみ淡路あわじ紀伊きい伊賀いが伊勢いせ志摩しま近江おうみの諸国を包むことと致しましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
かようの次第で、御世みよごとに志摩しまの國から魚類の貢物みつぎものたてまつる時に猿女の君等にくだされるのです。
それが紀州きしゅう沖から、志摩しま半島沖、更に東に進んで遠州灘えんしゅうなだ沖と、だんだん帝都に接近してきた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
志摩しまの女王」と名づけられた、その道の人は誰でも知っている、日本随一の大真珠で、産地は志摩国大王崎だいおうざきの沖合、鮑貝あわびがい中から発見された珍らしい天然真珠、形は見事な茄子なす
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「浜松から遠くもない、こんな小島に長居ながいは危険です。わたくしの考えでは、夜のあけぬまえに、渥美あつみの海へこぎだして、伊良湖崎いらこざきから志摩しまの国へわたるが一ばんご無事かとぞんじますが」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祖「千万せんばん有難う存じます……志摩しま殿、幸五郎こうごろう殿御苦労さまで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「愛宕下の志摩しま侯を招いて来い」
粗忽評判記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
志摩しまのあねらは何える
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
うららかに志摩しまくに
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
志摩しまの稲垣氏の家世かせいは今つまびらかにすることが出来ない。しかし抽斎の祖父清蔵も恐らくは相貌そうぼうの立派な人で、それが父允成を経由して抽斎に遺伝したものであろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
志摩しまのはて安乘あのり小村こむら
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
志摩しまの女王
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
般若寺村はんにやじむらの庄屋橋本忠兵衛の娘みねが十七歳、平八郎が叔父宮脇志摩しまの二女を五年前に養女にしたいくが九歳、大塩家にゐた女は此三人で、それに去年の暮にみねの生んだ弓太郎ゆみたらうを附け
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
志摩しまはて安乘あのり小村こむら
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)