あら)” の例文
眼が覚めてみると袋の綿はすでになく、そのかわりに一枚の帷子が入っていた。あらくして青黄黒白の段染だんぞめであった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
よつて弟がひ来りしものを視るに、銀色にして上光うはびかり無く、球形にして少しく肌あらし。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
真のトルーフル中最も重要なはチュベール・メラノスポルム。これは円くてあらいぼを密生し、茶色または黒くその香オランダいちごに似る。上等の食品として仏国より輸出し大儲けする。
冬は釜底かまぞこぼう阿弥陀あみだにかぶり、焦茶こげちゃ毛糸の襟巻、中には樺色のあらい毛糸の手袋をして、雨天には簑笠姿みのかさすがたで、車の心棒に油を入れた竹筒たけづつをぶらさげ、空の肥桶の上に、馬鈴薯じゃがいも甘薯さつまいもの二籠三籠
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
葛布のような太くあらい布を織って、棕櫚しゅろのような赤黒い色をした袋を製して用いているのは、原料はこのシナの木の皮であり、他国には例の無いことだと
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)