駅逓えきてい)” の例文
旧字:驛遞
まるで駅逓えきてい馬車みたいに、のべつ書きどおしで、ほかに打つ手がない。そのどこがすばらしいか、明るいか、ひとつ伺いたいものだ。
明日あすはいくらと駅逓えきてい局(その頃はもう郵便局と云っておりましたが、お父様は矢張りこんな風に昔の名前を云っておられました)
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
不躾ぶしつけでもある。あらためて翁と呼ぶ。翁が今住んで居る家は、明治三十九年に出来た官設の駅逓えきていで、四十坪程の質素な木造。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
つくづくと見まわした沿道の風景はまだ記憶に生々しい。だが、その変化は更にはげしかった。まっ先に気づくのは、息つぎ場所の駅逓えきていである。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
去年の十月末に出した江戸の便りが、年を越えて今頃やっと着くほど、道中の駅逓えきていも、宿々の秩序も、表面は穏やかに見えながら、まだ完全でない社会である。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露領時代のままの駅逓えきていが或る林中に幽かに薄紫の炊煙を立てているのも見た。その駅逓は丸太組で、極めて簡朴な、そうして異国風の雅味を持った建築であった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
栄吉は彼の前にいろいろな改正の印鑑を取り出して見せた。あるものは京都府の駅逓えきてい印鑑、あるものは柏崎かしわざき県の駅逓印鑑、あるものは民政裁判所の判鑑というふうに。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ビクターに入っている「辻音楽師」「春の夢」「鱒」「水に寄せて歌える」はその最も傑出したもので、「道しるべ」「お休み」「菩提樹」「駅逓えきてい」はこれに次ぐだろう。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
アメリカに以前駅逓えきてい総監までつとめたことのあるバアルソンといふ爺さんがある。この爺さんはざつと数へて四十年もの間、毎日毎日蝙蝠傘を持ちあるいてゐるので聞こえた人である。
それから『駅逓えきてい』(一三四二)『何処どこへ』『隠遁いんとん』(DA一二一九)というところであろうか。
早朝関翁以下駅逓えきていの人々に別を告げる。斗満橋を渡って、見かえると、谷をむるあお朝霧あさぎりの中に、関翁は此方に向い、つえかしらに両手をんで其上にひたい押付おしつけて居られた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しゆの色の駅逓えきてい馬車ぐるまをどりゆく。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
片山君等が最初に建てた小舎だが、便利のわるい為め見すてゝ川側かわはたに移ったそうな。何時の間にか㓐別橋に来た。先夜は可なりあるように思ったが、駅逓えきていから十丁には過ぎぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
駅逓えきていきよく長壁ながかべ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)