風音かざおと)” の例文
すると、どこからともなく、ザッ、ザッ、ザッ、ザッと草をなでてくるような風音かざおと。つづいて、地を打ってくる馬蹄ばていのひびき。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると風音かざおとの高まるが早いか、左から雪がしまいて参りました。わたくしは咄嗟とっさに半開きの傘を斜めに左へ廻しました。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
聞くだけでもう魂がかきむしられる思いのするその地獄のような風音かざおとこそ、あたり一帯のむざんな光景にひとみを点ずるものなのだが、その音のなかからは
どう/\ッと松ヶ枝にあたりまする風音かざおと、どぷり/\という春の海では有りますけれども、岸へ打付ける海音うみおと高く、時はまだ若春わかはるのことで、人ッ子一人通りません。
夜に起り荒く息づく風音かざおとはまがふべきなし耳を放たず
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
往来ゆきゝもとよりなし、山国の事でございますから木に当る風音かざおとと谷川の水音みずおとばかりドウードッという。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夜に起り荒く息づく風音かざおとはまがふべきなし耳を放たず
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
と話しながら酒をかわし、おかくは丹治を酔わせようと思ってむやみにさかずきをすゝめましたからグッスリと酔いまして、もう寝ようと床に就きました頃は雪はみまして、風音かざおとのみ高く聞えます。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)