風花かざはな)” の例文
あまりの寒さが、風花かざはな落ちかかる夜更けの街から街を慄えていく寒念仏の辛い境涯が、そのまましきりにいま自分の上にあてはめて考えられてきた。いつかお経は上の空になった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
夜は晩くまで納屋なやもみずりの響がする。突然だしぬけにざあと時雨しぐれが来る。はら/\とひさしをうってあられが来る。ちら/\と風花かざはなが降る。北からこがらしが吹いて来て、落葉した村の木立を騒々しく鳴らす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
尤も十一月の末または十二月の初めにも、夕立めいた雲が赤城方面から押寄せて、寒い北風と共にぱらぱらと白いものが舞い落ちることはある。それはあられであって土地の人は風花かざはなと呼んでいる。
山と村 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
いづくとも無く風花かざはなの生れ来て
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
日ねもすの風花かざはな淋しからざるや
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
風花かざはなの今日をかなしと思ひけり
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
溝板の上につういと風花かざはな
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)