あば)” の例文
そうなっても倍音の神秘があばかれない限りは、当然失神の原因に、自企的な疑いを挾まねばならない——とね。どうだい?
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
……では、どんな方法で陳東海がかような奇ッ怪超自然の殺人を行ッたのかと申しますと、からくりをあばいて見れば、実にもう子供騙こどもだまし同然の仕掛。
そしてやがてもう今では、嘗て昔の日に、私が人を殺したのだと、さう云つて、誰かが私の上に罪をあばいたとしても、私は恐らくそれを否定しないであらう。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
この活々と緊張して、而も落付き、社会の裏面をあばく惨酷さでは骨髄を抉っている描写は、消えぬ絵となって我々の印象に焼きつけられるのである。同時に、何か漠然とした驚きが引き起こされる。
バルザックに対する評価 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
風にあばかれて裸の赤兒は
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)