隻手せきしゆ)” の例文
「ぢやア、どんなものがある? 隻手せきしゆの聲など云つて、いたづらにヰト、頓智を弄してゐるに過ぎない。」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
なんぢ炎威えんゐたゝかへ、うみやまくさいし白熱はくねつして、なんぢまなこくらまんとす。て、痩躯そうくをかつて、そでかざして病魔びやうまたてせよ。隻手せきしゆはらつてれ。たゝかひはよわし。あしはふるふとも、こゝろそらはせよ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
内懷うちぶところ隻手せきしゆいんむすんで、むねびたい、とおもふくらゐである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「矢ツ張り、隻手せきしゆの聲で、祕密だと云ふのか?」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)