階子ばしご)” の例文
いはけづつて點滴したゝみづは、階子ばしごに、垂々たら/\しづくして、ちながら氷柱つらゝらむ、とひやゝかさのむのみ。何處どこいへほのほがあらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女を引き摺るようにして、せまい掛け階子ばしごをのぼってゆくと、二階の四畳半には誰もいなかった。半七は念のために押入れをあけて見た。古い葛籠つづらをゆすってみた。
半七捕物帳:35 半七先生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
分けて今年はあたたかさに枝垂しだれた黒髪はなおこまやかで、中にも真中まんなかに、月光を浴びて漆のように高く立った火の見階子ばしごに、袖を掛けた柳の一本ひともと瑠璃天井るりてんじょうの階子段に、遊女のもたれた風情がある。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)