陣太鼓じんだいこ)” の例文
幼稚園へ行く七つになる男の子が、ともえもんのついた陣太鼓じんだいこのようなものを持って来て、宵子よいこさん叩かして上げるからおいでと連れて行った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あんじょう、ドーッと、陣太鼓じんだいこをぶつけるような吹雪がきた。燃えのこった焚火たきびが雪にまじって、虚空こくうに舞い、歓喜天かんぎてんの堂のとびらもさらってゆかれそう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときの声のげ方や、陣太鼓じんだいこの響き工合や、その他いろ/\の物のけはいで、敵味方の勝ち敗けを判じたり、今日きょうは夜討ちがあるだろうとか、明日あすは朝がけがあるだろうとか
にわかにとどろく軍馬の音! 法螺ほら! 陣太鼓じんだいこ! 銅鑼どらぶうぶうどんどん。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
七つになる嘉吉かきちという男の子が、いつもの陣太鼓じんだいこたたいて叱られたあと、そっと千代子のそばへ来て、宵子よいこさんはもう帰って来ないのと聞いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もっとも秀吉ばかりでなく、およそ戦国の世に男とうまれ武士の子と生まれたほどの者は、みな、陣太鼓じんだいこが三ツ鳴るあいだに、具足着ぐそくきこみのできるくらいの修養しゅうようを、ふだんのうちにつんでいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)