院長いんちょう)” の例文
院長いんちょう不覚そぞろあわれにも、また不気味ぶきみにもかんじて、猶太人ジウあといて、その禿頭はげあたまだの、あしくるぶしなどをみまわしながら、別室べっしつまでった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
院長いんちょうは、その老人ろうじんと、いだ看護婦かんごふとをするど一瞥いちべつしてからいかにも、こんなものを……ばかなやつだといわぬばかりに
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
院長いんちょう片手かたて頬杖ほおづえきながら考込かんがえこんで、ただ機械的きかいてき質問しつもんけるのみである。代診だいしんのセルゲイ、セルゲイチが時々ときどきこすこすくちれる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
院長いんちょうは、きたときいては、ててもおけなかったのでした。どんな身分みぶん患者かんじゃであって、またどこがわるいのか、それをりたいという職業意識しょくぎょういしきこって
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかるにかれ毎晩まいばんねむらずして、我儘わがままってはほか患者等かんじゃら邪魔じゃまをするので、院長いんちょうのアンドレイ、エヒミチはかれを六号室ごうしつ別室べっしつうつしたのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「あなたですか、院長いんちょうさんにてもらいたいと、おっしゃられたのは?」と、看護婦かんごふはたずねました。
世の中のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
院長いんちょうは、そばに、まごまごしている、看護婦かんごふかおをにらんで、おくへさっさとはいってしまいました。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのじょは、もんるときに、どうして、みんながあのように、代診だいしん満足まんぞくしているのだろう? 院長いんちょうさんには、めったにみてもらえないからかしらんとさえおもいました。
世の中のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかのことって、みんなこうしたものね。」と、さすがに、これをきいたとき、婦人ふじんは、歎息たんそくをつきました。いつか代診だいしんより、院長いんちょうえらいとおもった、自分じぶんおろかしさをさとったのでした。
世の中のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)