えつ)” の例文
この自負心と自負心とが衝突して、両々相下あいくだらざるの結果、ついに今日の如き、漠々三えつ年、なお結んで解けざるの戦雲を捲き起したでないか。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
日露干戈かんくわを交へてまさに三えつ月、世上愛国の呼声は今ほとんど其最高潮に達したるべく見え候。吾人は彼等の赤誠に同ずるに於ていささかの考慮をも要せざる可く候。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
太祖の挙止端整なるを喜びて、皇孫にって曰く、この荘士、まさその才を老いしめて以てなんじたすけしめんと。えつ十年にして又すすめられて至る。太祖曰く、今孝孺を用いるの時にあらずと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
(呉の鄱陽はようの太守周魴しゅうほうは、かねてから魏の臣に列したい望みをもらしていたが、今、密使をもって、七ヵ条の利害を挙げ、呉をやぶる計を自分の手許まで送ってきた。右、ご一えつを仰ぐ)
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和の率いる所の将卒二万七千八百余人、ふね長さ四十四丈、広さ十八丈の者、六十二、蘇州そしゅう劉家河りゅうかかよりかいうかびて福建ふくけんに至り、福建五虎門ごこもんより帆を揚げて海に入る。えつ三年にして、五年九月かえる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)