閣下かっか)” の例文
ときにこの江州一円の奉行閣下かっかは、蔡得章さいとくしょうなる人で、当代宋朝の権臣、蔡京さいけいの九番目の息子にあたるところから、諸人は彼を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太平洋艦隊司令長官「はい、閣下かっか。国内に対しても国外に対しても、有効なる宣撫手段せんぶしゅだんは、われらが勝利を得るより外に途なしでありまする」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
サンスクリット語の仏典を閣下かっかに請求しろという事でありますからこの事についても一つ御尽力ごじんりょくを願いたいのであります
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
権力けんりょくを代表せられる令名れいめい高き閣下かっかは、わたくしの一座いちざ俳優はいゆうどもに、口輪くちわをはめろというご命令めいれいでございますか」
どうせからかうつもりなら、いっそもう、閣下かっかとでも呼んでもらいたい。僕たちの社会的の地位たるや、ほとんどまるで乞食坊主と同じくらいのものなんだ。
春の枯葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
『どうぞ閣下かっかこれをおください。』と、ニキタは前院長ぜんいんちょうまえって丁寧ていねいうた。『あれが閣下かっかのお寐台ねだいで。』と、かれさらあたらしくおかれた寐台ねだいほうして。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「それなら閣下かっかか。あら、閣下、何んていけかないんでしょうね。この石の斑点は坊主ぼうずでしょうか? あら、蛸だわ! ねえ、ちょいと、閣下ってば……かね?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
……総監閣下かっか。暗号電報の写しはこの通りであります。この電報の最後の署名になっておりますT・M・Sの三字はどう見ても或る個人的の発信者の署名とは思われませぬ。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
閣下かっか、私は、その時その男に始めて私自身を認めたのでございます。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「見給え。あそこにり出してある。畑閣下かっかが幹事だからね」
余興 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「上川中将閣下かっかですよ」
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「大使閣下かっかは、御不在ごふざいです。そしてわが大使館には、あなたのような名前の参事官はいません。御返事は、これだけです」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このさるは『権力けんりょくが代表せられる令名れいめい高き閣下かっか』の真後まうしろにをかまえてこっけいなしかめっ面をして見せていた。
まず、閣下かっかの健勝を祝します。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
警察署長閣下かっか
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「関閣下かっか
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
権力けんりょくを代表せられるところの閣下かっかよ」とかれは言って、ぼうしをぬいでていねいに巡査じゅんさにおじぎをした。
「実は重大人物が行方不明となりましたものですから、特に課長さんの御尽力ごじんりょくすがりたいと存じまして、目賀野閣下かっかから紹介して頂いたような次第でございます」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「だって、海を泳いで、閣下かっかたちの乗っていられる船を追っかけて来たのでしょう」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
某大国の特使閣下かっかを、金博士の許へ案内したのは誰あろう、かくいうわたくしであった。その当時、世界通信は、金博士が生死不明なること三十日に及び、まず死亡したものと噂されていたのである。
「おことばですが閣下かっか、もうそろそろ珊瑚礁リーフになりますんで」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういったのは警視総監の千葉八雲ちばやぐも閣下かっかだった。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「五時三十五分です、閣下かっか
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)