醜怪しうくわい)” の例文
恐らくあの修驗者は、内儀の美色に引寄せられて、灯に迷つて來る醜怪しうくわいな昆蟲のやうに、夜中にノコノコ這ひ出して來たことでせう。
それも、義理や誤魔化しで泣くのではなく、聲をあげて泣く姿は、たとへやうもなく醜怪しうくわいで、八五郎などは
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
百松は、萬筋まんすぢの單衣を端折つて、舞臺の上にかゞみました。蝋燭をかゝげると、縛られたお村の顏よりは、自分の醜怪しうくわいな顏の方が、灯りの眞ん中へヌツと出ます。
平次が指さしたのは、昨日佐原屋の裏へ來てゐた、醜怪しうくわいな躄の乞食老爺でした。
息の通つて居るうちは、それは美しくも色つぽくもあつたことでせうが、猪や熊を捕る虎挾みで絞め殺されたお豐の死に顏は、醜怪しうくわいで不氣味で、二た眼とは見られぬ物凄い有樣だつたのです。