逢魔あふま)” の例文
まくらいたのは黄昏たそがれころこれ逢魔あふまとき雀色時すゞめいろどきなどといふ一日いちにちうち人間にんげん影法師かげぼふし一番いちばんぼんやりとするときで、五時ごじから六時ろくじあひだおこつたこと、わたしが十七のあきのはじめ。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
殊更な闇がこれから墓塲全體を取りめぐらうとするその逢魔あふまの蔭にみのるは何時までも佇んでゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
売りし琴にむつびのきよくをのせしひびき逢魔あふまがどきの黒百合折れぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
市ヶ谷の逢魔あふまが時となりにけりあかんぼの泣く梟の啼く
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今が逢魔あふまが時といふのぢや。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
逢魔あふまときの薄暗がりより漸次しだいに元気衰へつ、に入りて雨の降り出づるに薄ら淋しくなりまさりぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)