贅物ぜいぶつ)” の例文
此歌萬葉時代に流行せる一氣呵成かせいの調にて少しも野卑なる處は無く字句もしまり居り候へども全體の上より見れば上三句は贅物ぜいぶつに屬し候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
そこには御方便な事がある。人体ののどに甲状腺といって大きな筋がある。今までは何の効用をなす筋だか分らないで不用な贅物ぜいぶつに数えられた。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ただ先刻さっき多々良君が吾輩を目して休養以外に何等の能もない贅物ぜいぶつのごとくにののしったのは少々気掛りである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ピストル」猟銃も亦あめ湿うるうてさびを生ぜる贅物ぜいぶつとなり、唯帰途の一行無事ぶじ祝砲しゆくはうはりしのみ。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
これしきの恩禄おんろくが何だ。光秀に才なくばこれもあるまい。しかも、その働きを、用い尽せば、彼の目には、安土に飼えるちんか、無用の贅物ぜいぶつとしか見えなくなって参るのだ。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし反対に、天下の男女が法律的の拘束をうるさがって続々と「共同生活」や内縁の夫婦を実行するに到ったら、平塚さんたちの要求される法律は無用の贅物ぜいぶつとなりはしないでしょうか。
新婦人協会の請願運動 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
この歌万葉時代に流行せる一気呵成かせいの調にて、少しも野卑なる処はなく、字句もしまりをり候へども、全体の上より見れば上三句は贅物ぜいぶつに属し候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
この歌万葉時代に流行せる一気呵成いっきかせいの調にて少しも野卑やひなるところはなく字句もしまり居り候えども、全体の上より見れば上三句は贅物ぜいぶつに属し候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
日本でも支那画をまねた者には、画賛即ち詩を書いた者があるが、多くは贅物ぜいぶつと思はれる。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)