貴下あんた)” の例文
畜生になってな、私が天王寺の銀杏いちょうの下で、トントン踊って、養うよってな。世帯せいでも大事ない、もう貴下あんた、多一さんをいじめんとおくれやす。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ねえ、益満さん、あの、貴下あんたとこのお嬢という人は、この人の手を折った人の、妹さんで、ござんしょう」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「同質の泥というと——貴下あんたさんは、地質にも明るいのやな」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けどな、多一さん、貴下あんたな、九太夫やったり、そのな、額のきずで、床下から出やはった処は仁木にっきどすせ。沢山たんと忠義な家来ではどちらやかてなさそうな。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「聞いとります。今も、それで、話をしてましたが、貴下あんた、親子の縁と申すのは、怖いようどすえ」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
実際、串戯じょうだんではない。そのくらいなんですもの。仏教はこれから法燈ほうとうの輝く時です。それだのに、何故なぜか、貴下あんたがたが因循いんじゅんして引込思案ひっこみじあんでいらっしゃる。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「交易って、貴下あんた——」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
かどのとまりに、ちょんと乗って、むぐむぐ柿を頬張っていた、あの、おおきな猿が、土間へ跳下とびおりて、貴下あんたと一所に、頭を土へ附けたのには、つい、おろおろと涙が出たえ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あえてそうでないです。が、貴下あんたの言語が前後不揃であるからじゃね。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ほんとなら、どうおしる。貴下あんた、そんなに按摩さんが恋しいかな。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)