おもえ)” の例文
その中について独り西洋学者の流は深謀遠慮にして、ひそかおもえらく、官軍或は暴ならん、仮令い暴なりと雖ども西洋人に害を及ぼすことは彼輩のよくする所にあらざるべし
故社員の一言今尚精神 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
後儒はおもえらく、神は陰陽の霊なり。ゆえに常躬じょうきゅう鎮坐をいうことなし。また謂らく、魂は気血の精のみ。ゆえに死魂散滅と議思す。これ人間の理量にして、神仙の知にあらず。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
おもえらく、然らずんば以て外夷を拒絶し国威を震耀しんようするに足らずと。その後、あまねく洋書を講究し、専ら礮学ほうがくを修め、事に遇えばすなわち論説する所あり、あるいはこれを声詩に発す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ただその心中におもえらく、内行の不取締、醜といわるれば醜なれども、詐偽さぎ破廉恥はれんちにはあらず、また我が一身の有様はおのずから人に語るべからざる都合もあることなるに
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
政府、時勢を探察し、おもえらく、天下の大、一藩のく救う所にあらずと。が党の論を以て狂疎事に通ぜずとす。余、平象山に師事し、深くその持論に服し、事ごとに、決を取る。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
れども物理学の一事は到底心頭を去らずして、之を思えばいよ/\面白く、ひとり心におもえらく、造化の秘密、誠に秘密なるが如くなれども、化翁必ずしもこれを秘するにあら
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おもえらく、水戸と堀田と西城の議合す、故を以て阿附あふ朋比ほうひし、遂に違勅の挙を為す、水戸、堀田を斬らずんば、夷事おさむべからざるなりと。当今、幕府は幼冲ようちゅうにして、弁識する所なし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)