諸家しょけ)” の例文
それに、出稽古さきの諸家しょけ——松平和泉守いずみのかみ、戸田内膳、堀田信濃守しなののかみ、松平備後守びんごのかみ、板倉伊賀守らから、その係りの人が出席した。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
諸家しょけへ奉公致して居りました故、なか/\多芸な娘でございますが、阿部の悪心からついに島流しになるような不運な身になったのでございます。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
諸家しょけから招きが多いようですから、むりもございますまい。長座ちょうざいたしましたが、てまえも程なくいとまいたします」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「医書、儒書会読講釈」の看板を掛け、この方の弟子だけでもおよそ二百人。諸家しょけの出入やら究理機械の発明、薬草の採集に火浣布かかんぷの製造、と寸暇もない。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
次いで登城して諸家しょけの留守居に会う。従者は自らやしなっている若党草履取ぞうりとりの外に、主家しゅうけから附けられるのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ある日の午後、尼提はいつものように諸家しょけの糞尿を大きい瓦器がきの中に集め、そのまた瓦器を背に負ったまま、いろいろの店ののきを並べた、狭苦しい路を歩いていた。
尼提 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一、諸家しょけより香料を送らるるあらば、海陸両軍費に寄附すべし。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
役者はおもいおもいの意匠をこらしたびらを寄せた。縁故のある華族の諸家しょけは皆金品をおくって、中には老女をつかわしたものもあった。勝久が三十一歳の時の事である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
広前ひろまえにはりめぐらした鯨幕くじらまく、またわかれわかれにじんどった諸家しょけ定紋幕じょうもんまくなみのようにハタハタと風をうつ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当年、軍学兵法の講論こうろん大試合だいしあい参加さんかする諸家しょけは、まずご当家とうけ筆頭ひっとうに、小田原おだわら北条ほうじょう加賀かが前田まえだ出陣中しゅつじんちゅう豊臣家とよとみけ奥州おうしゅう伊達だて、そのほか三、四ヵ国のご予定よていとある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)