づまり)” の例文
ところがその普通の径路を行き尽くして、もうこれがどんづまりだと云う間際まぎわになると、魂が割れて二様の所作しょさをする。第一は順風に帆を上げる勢いで、このどん底まで流れ込んでしまう。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ等閑なおざりに言い棄てたが、小松原は思わずこぶしを握った。生れて以来このかた、かよわきこの女性にょしょうに対して、男性の意気と力をいまだかつて一たびもためにあらわし得たおぼえがない。腑効ふがいなさもそのドンづまりに……
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)