“詢(と)” の例文
行クニノゾンデ、継イデ見ンコトヲ約シ、ソノ館舎ヲ詢(と)ヘバ、豊陽館ナリトイフ。翌日往イテ之ヲ訪ヘバ、則チ已(すで)ニ行ケリ矣。…………
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
もししからばすなわち張公が言非なるか、因って挙似して以てその所以(ゆえん)を詢(と)う、僧いう晨を司る鶏は必ず童を以てす。
而(しこう)して又鄭は実に威を海外に示さんとし、胡(こ)は実に異を幽境に詢(と)えるや論無し。善(よ)く射る者は雁影(がんえい)を重ならしめて而して射、善(よ)く謀(はか)る者は機会を復ならしめて而して謀る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この年十二月二十一日の夜(よ)、塙次郎(はなわじろう)が三番町(さんばんちょう)で刺客(せきかく)の刃(やいば)に命を隕(おと)した。抽斎は常にこの人と岡本况斎(きょうさい)とに、国典の事を詢(と)うことにしていたそうである。次郎は温古堂(おんこどう)と号した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
昌黎(しやうれい)、言(ものい)ふこと能(あた)はず、涙(なんだ)先(ま)づ下(くだ)る。韓湘(かんしやう)曰(いは)く、今(いま)、公(きみ)、花間(くわかん)の文字(もんじ)を知(し)れりや。昌黎(しやうれい)默然(もくねん)たり。時(とき)に後(おく)れたる從者(じゆうしや)辛(から)うじて到(いた)る。昌黎(しやうれい)顧(かへり)みて、詢(と)うて曰(いは)く、此(こ)の地(ち)何處(いづこ)ぞ。藍關(らんくわん)にて候(さふらふ)。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
即麟経(りんけい)ニ載スル所ノ雨木氷ナル者ナリ。アマネク耆旧(ききゅう)ニ詢(と)フニ皆曰クイマダ経テ見ザル所ナリト。実ニ奇観ナリ。詩仏ノ詩アリ。極メテソノ状ヲ殫(つく)ス。凝不成花異霿淞。著来物物各異容。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)