親分おやぶん)” の例文
申さぬシテ何事で御座ると問に掃部イヤ外の事でも御座らぬが我々の親分おやぶん鎌倉屋金兵衞事桶川宿をけがはじゆくわしの宮に於て殺され其上に五百兩と云ふ金子かね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのあいだ、おそろしいかおつきの親分おやぶんふえいたり太鼓たいこをたたいたりしてはやすのだ。そして、もし、しそこないをすると、どもをしかるのだ。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
『あんなことつて、親分おやぶんトボケてるが、面白おもしろ土瓶どびんたやうなものだの、香爐かうろたやうなものだの、澤山たくさん掘出ほりだしてつてるだよ』とをしへてれた。
なんとやらいかめしき親分おやぶん手下てかにつきて、そろひのぬぐひ長提燈ながてうちんさいころことおぼえぬうちは素見ひやかし格子先かうしさきおもつての串談じようだんひがたしとや、眞面目まじめにつとむる家業かげうひるのうちばかり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御願おねがひ申ますと其所を立去り夫より所々を回りて我家へ歸るや否や親分おやぶんの方へゆき親分に御聞申ことがあると云ゆゑ長兵衞は何事ならんと心配しんぱいして其譯そのわけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まへはそんなことつて、胡麻化ごまくわすんだ。きつ仲買なかがひしてあるくんだらうと、いや、はや、沒分曉漢わからずや親分おやぶん
たこ坊主ぼうずのおかみさんに、どうぞおっとかたきをうってくださいとたのまれる、ヨシ、そんならわたしかたきをうってやろうと、かっぱの親分おやぶんは、さっそく子分こぶんをよびあつめて、みずをくぐってみつからないように
もののいえないもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
串戯じやうだんツちやいけぬとおもひながら『一個ひとつ千兩せんれうでもふよ』とわらふてこたへると、親分おやぶんがそれを打消うちけして。
かけし樣なるもの然れば私しもかうしては居られぬゆゑ是よりすぐに御奉行所へ駈込訴かけこみそを致し其金の證人に成うと思ふにより何卒どうぞ親分おやぶん願書ぐわんしよしたゝめて下されと一じふの物語りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)