西宮にしのみや)” の例文
「あてやわ、姉ちゃん、あて西宮にしのみやの一二三四番へかけてんねんわ」と家の電話番号をいう声が、聞いてるとやっぱりまぎれものう光子さんで
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
兵庫、西宮にしのみやから大坂間の街道筋は、山陰、山陽、西海、東海諸道からの要路に当たって、宿駅人馬の継立つぎたても繁雑をきわめると言われたころだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それから西宮にしのみや兵庫ひょうごを経て、播磨国はりまのくにり、明石あかしから本国姫路に出て、魚町うおまちの旅宿に三日いた。九郎右衛門は伜の家があっても、本意を遂げるまでは立ち寄らぬのである。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大正十五年三月十八日の朝、東京から行つた藤沢古実ふるみ君が、柹蔭山房しいんさんばうに赤彦君を見舞つたはずである。ついで摂津西宮にしのみやを立つた中村憲吉君が、翌十九日のひるちかくに到著したはずである。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
西宮にしのみやなる高女生。
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
阪神電車の沿線にある町々、西宮にしのみや蘆屋あしや魚崎うおざき住吉すみよしあたりでは、地元じもとの浜でれる鰺やいわしを、「鰺の取れ/\」「鰯の取れ/\」と呼びながら大概毎日売りに来る。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
阪神電車の沿線にある町々、西宮にしのみや蘆屋あしや魚崎うおざき住吉すみよしあたりでは、地元の浜でれる鰺やいわしを、「鰺の取れ取れ」「鰯の取れ取れ」と呼びながら大概毎日売りに来る。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「———キッキョウって、ほら、あれじゃないの。十日戎とおかえびすの日に西宮にしのみやや今宮で売ってる、ささの枝に小判だの大福帳だの千両箱だのを結い着けた、あれのことじゃないの」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
西宮にしのみやの誰々さあん」、「下関の誰々さあん」などと云うのが飛び出して来て、しまいに「フィリッピンの誰々さあん」と呼ぶので、さすがに歌舞伎座は日本全国どころやない
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
専門医は西宮にしのみやつじ博士がよいから、今日中にも往診してくれるように電話で頼んで置きましょう、と云うことであったが、夕刻に辻博士が見え、診察後暫く悦子と問答などをして
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「………実はわたくし、先日西宮にしのみやで二三遍おいしたことがございました」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)