蚊細かぼそ)” の例文
十四五ぐらいの幼さで、まだ一人前に成熟していない、蚊細かぼそい肢体をしている見習に、ひどく職業的なものを感じたのである。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
「ハイ」と蚊細かぼそふるえ声で、女達は恐ろしそうに返辞いらえたが、ベタベタとひざを庭へ突いた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
折から白髪天窓しらがあたますげ小笠おがさ、腰の曲ったのが、蚊細かぼそい渋茶けた足に草鞋わらじ穿き、豊島茣蓙としまござをくるくると巻いてななめ背負しょい、竹の杖を両手に二本突いて、おとがいを突出して気ばかりさきへ立つ
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白井さんも蚊細かぼそい方だし奥さんの方も薬の絶え間がないんですからね。
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
大尉の声は、切れ切れに、蚊細かぼそく、夫人の援助をもとめたのだった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
相変らずの美貌であるが、少しくせぎすで、手足など蚊細かぼそすぎるうらみがあった。胸の病いがあるのではないかと疑われた。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)