落付おちつい)” の例文
勘次かんじ菜種油なたねあぶらのやうに櫟林くぬぎばやしあひせつしつゝ村落むら西端せいたん僻在へきざいして親子おやこにんたゞ凝結ぎようけつしたやうな状態じやうたいたもつて落付おちついるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……つまり一口に申しますとこの少年は、どちらかといえば年齢の割合に落付おちついた、物静かな性格と見るべきで御座いましょう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二郎は物やさしく母親に言われて、心が少し落付おちついたもので、初めて自分が悪かったと知ったから、太郎に向って
迷い路 (新字新仮名) / 小川未明(著)
生きて居る身はいつ何時なんどき死ぬかも知れぬから、その死ぬ時に落付おちついて静にしようとうのは誰も考えて居ましょう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
蒸気車にのってあの地峡ちきょうえて、向側むこうがわに出て又船に乗て、丁度三月十九日に紐育ニューヨークに着き、華聖頓ワシントン落付おちついて、取敢とりあえず亜米利加の国務卿にうて例の金の話を始めた。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ソレを聞いて何にするか。「何にするッてわかってるではないか、是れがいよ/\戦争にまれば僕は荷物をこしらえて逸げなくてはならぬ、戦争にならぬと云えば落付おちついて居る。 ...
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)