胡乱々々うろうろ)” の例文
旧字:胡亂々々
又、此の屑屋がきょうがつた男で、鉄砲笊てっぽうざるかついだまゝ、落ちたところ俯向うつむいて、篦鷺へらさぎのやうに、竹のはし其処等そこらつっつきながら、胡乱々々うろうろする。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何の真似やら、おなじような、あたまから羽織をひっかぶった若いしゅが、溝を伝うて、二人、三人、胡乱々々うろうろする。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
米は鍵屋あって以来の上客を得た上に、当のあいての蔵屋の分二名まで取込んだ得意想うべく、わざと後をおさえて、周章あわてて胡乱々々うろうろする蔵屋のむすめに、上下うえした四人をこれ見よがし。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「強いて信じたくないとは願わんのです、紳士のために。なぜ、そんなら貴下は、その新聞包みを棄つるに際して、きょろきょろ四辺あたりみまわしたり、胡乱々々うろうろ往来ゆききをしたんじゃね。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その姉さんは貴方あなた、こないだから、昼間参りましたり、晩方来ましたりいたしましては、この辺を胡乱々々うろうろして、行ったり来たりしていたのでございますがね。今日は七日目でございます。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と道は落着かず胡乱々々うろうろする。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)