“育兒（いくじ）” の例文
すると、先（ま）づ裁縫（さいほう）の本（ほん）とか、料理（れうり）の本（ほん）とか、或（あるひ）は又（また）育兒（いくじ）に關（くわん）する本（ほん）とかいふものがある。成（な）る程（ほど）これは、大抵（たいてい）の場合（ばあひ）、婦人（ふじん）のみに用（よう）のある書物（しよもつ）である。
読書の態度 (旧字旧仮名) ／ 芥川竜之介(著)
併（しか）し、婦人（ふじん）に何（ど）ういふ本（ほん）を讀（よ）ませたらいゝかといふのは、料理（れうり）とか裁縫（さいほう）とか育兒（いくじ）といふものよりも、もつと婦人（ふじん）の精神的要求（せいしんてきえうきう）を充（み）たすべき書物（しよもつ）を尋（たづ）ねるのであらう。
読書の態度 (旧字旧仮名) ／ 芥川竜之介(著)
つまり、料理（れうり）とか裁縫（さいほう）とか、育兒（いくじ）とかといふ書物以外（しよもついぐわい）に——婦人（ふじん）が實生活（じつせいくわつ）の中（なか）に勤（つと）める役割（やくわり）に關（くわん）した書物以外（しよもついぐわい）に、婦人（ふじん）にのみ用（よう）のある書物（しよもつ）があるかどうかといふ事（こと）は疑問（ぎもん）である。
読書の態度 (旧字旧仮名) ／ 芥川竜之介(著)