肯入ききい)” の例文
どうして肯入ききいれるもんですか、子を見ること何とかというわけで、三日酒のまず、喧嘩をしないでいたら、世話になろうといいましたとさ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「してみればこの世にお互いは用がない、治部太夫殿、この世に用のない老人殿、宮内の無心を肯入ききいれてくれ」
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
学円 わししばれ、(と上衣うわぎを脱ぎ棄て)かほど云うても肯入ききいれないならむを得ん、わしを縛れ、牛にのせい。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それに仕込杖しこみづえなんぞ持っていらっしゃいましたから、私達がかれこれ申上げた処で、とてもお肯入ききいれはなさりますまいと、そう思いまして黙って見ておりましたが
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし様子を見ても大抵分る、これは肯入ききいれてはくれないだろう、断然断らるるに違ない!
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
血気にはやり、我慢に推上おしのぼろうとなさる御仁なら、お肯入ききいれのないまでも、お留め申すがてまえ年効としがいではありますが、お見受け申した処、悪いと言えば、それでもとはおっしゃりそうもない。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それでも夫人のまだ話し飽かないのを、幾度いくたび促しても肯入ききいれなかったが……火鉢で隔てて、柔かく乗出していた肩の、きぬの裏がするりとすべった時、薄寒そうに、がっくりとうなずくと見ると
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
肯入ききいれ無く、思切ったわざをなさりゃ、表向きに坐込む、と変った言種いいぐさをしたために、奥さんも思案に余って、気を揉んでいなすった処へ、思いの外用事が早く片附いて、英臣さんが凱旋がいせんでしょう。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前の要求は肯入ききいれられない、二人は断じて縁を切らない……
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何てッて頼んでも、母様は肯入ききいれないし、父様おとっさんは旅の空。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)