耳掻みみかき)” の例文
程無く内儀は環を捜得さがしえ帰来かへりきにけるが、悪戯いたづらとも知らで耳掻みみかきの如く引展ひきのばされたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
田口はこう云って、自分の前に引きつけた手提煙草盆てさげたばこぼん抽出ひきだしを開けると、その中からつのでできた細長い耳掻みみかきさがし出した。それを右の耳の中に入れて、さもゆそうにき廻した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぷんとえた村へ入ったようなにおいがする、そのじい、余り日南ひなたぼッこを仕過ぎて逆上のぼせたと思われる、大きな真鍮しんちゅう耳掻みみかきを持って、片手で鼻に杖をついたなり、馬面を据えておいて、耳の穴を掻きはじめた。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かんざし耳掻みみかきほどの草の花
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)