あお)” の例文
あおい藻などが浮き、鏡のように動かない古池に、ぽっつり夢のように浮いている睡蓮の花を見たら、きっと、泣き出したに相違ありません。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
川島は、其処の倒れた松に腰かけて一ぷくしながら、あおいゼリーのような、地図に無い沼を見下みおろしていたが、やがて煙草を棄てて水際までおりて行った。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
彼らは一緒に葡萄ぶどう畑や、林や、馬鈴薯ばれいしょ畑に出掛けて行く。そしてある時は野菜を、ある時はまだあお箒草ほうきぐさをという風に、あれや、これや、日によっていろんなものを積んで帰る。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
眼の前の頑丈な実験台の上には、フラスコに入れられたあおいどろどろしたものが置かれてあった。それはさっきの沼の全面を占領していた青みどろのようであった。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)