経立ふったち)” の例文
三六 猿の経立ふったち御犬おいぬの経立は恐ろしきものなり。御犬おいぬとはおおかみのことなり。山口の村に近きふた石山いしやまは岩山なり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
四五 猿の経立ふったちはよく人に似て、女色を好み里の婦人を盗み去ること多し。松脂まつやにを毛にり砂をその上につけておる故、毛皮けがわよろいのごとく鉄砲のたまとおらず。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この鉱山のために炭を焼きて生計とする者、これも笛の上手じょうずにて、ある日ひるあいだ小屋こやにおり、仰向あおむき寝転ねころびて笛を吹きてありしに、小屋の口なる垂菰たれごもをかかぐる者あり。驚きて見れば猿の経立ふったちなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)