紫川むらさきがわ)” の例文
初めは、聞長浜きくのながはまにしようか、紫川むらさきがわの河原にしようか、などと所々、御評議にのぼったが、とても左様な手狭な場所では、たとい矢来を
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がらがらと音がして、汽車が紫川むらさきがわの鉄道橋を渡ると、間もなく小倉の停車場に着く。参謀長を始め、大勢の出迎人がある。一同にそこそこに挨拶をして、室町むろまち達見たつみという宿屋にはいった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
もう役所は午引ひるびけになっている。石田は馬に蹄鉄ていてつを打たせに遣ったので、司令部から引掛ひきがけに、紫川むらさきがわ左岸さがんの狭い道を常磐橋ときわばしの方へ歩いていると、戦役せんえき以来心安くしていた中野という男に逢った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)