素盞嗚尊すさのおのみこと)” の例文
翁 むかしの稲田姫は八股やつまた大蛇おろちに取られるところを、素盞嗚尊すさのおのみことに救われたが、ここにはそんな強い男もあるまいよ。
蟹満寺縁起 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
古書をひもとけば蓑に関する文献は様々あるが、中で最も古いのは『日本書紀』と思える。「素盞嗚尊すさのおのみこと束青草以為笠蓑」と同書一神代巻じんだいのまきに記してある。
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
鳶口とびぐち、木製の竜吐水りゅうどすい、強がりは清正のかぶと、銀紙の名刀、神楽の面は木彫の上物もあって、外道げどうひょっとこ、天狗、狐乃至は素盞嗚尊すさのおのみことなどすばらしい出来
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
の国に赴きたまわんとして素盞嗚尊すさのおのみこと、まず天照大神あまてらすおおみかみに、お別れ告げんと高天原たかまがはらに参る。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『書紀』の一書の素盞嗚尊すさのおのみことの悪業を列挙した条に「春はすなわち渠槽を廃し及び溝を埋めあぜこぼちまた種子を重播す、秋はすなわちくじを挿し馬を伏す、およそこの悪事かつてやすむ時なし」
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
(1)素盞嗚尊すさのおのみこと月読尊つきよみのみこととは同神か異神か、(2)高天の原は何方いずかたにありや、(3)持統天皇、春過ぎての歌の真意如何いかんなど、呆れ返ったことを問いに県属が来るに、よい加減な返事を一
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
愛宕山は七高山の一として修験の大修行場で、本尊は雷神らいじんにせよ素盞嗚尊すさのおのみことにせよ破旡神はむじんにせよ、いずれもあらい神で、この頃は既に勝軍地蔵を本宮とし、奥の院は太郎坊、天狗様の拠所よりどころであった。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
字は禄所ろくしょが正しいという説もあるが、本社祭神は大己貴命おおなむちのみこと相殿あいでんとして素盞嗚尊すさのおのみこと伊弉冊尊いざなみのみこと瓊々杵尊ににぎのみこと大宮女大神おおみやひめのおおかみ布留大神ふるのおおかみの六座(現在は大国魂おおくにたま神社)。武蔵むさしでは古社のうちへ数えられるのだ。
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
しかしですな、僕等がこの大正時代に於てうまで讃嘆するこの裸婦の美をですな、我国古代の紳士淑女達——たとえば素盞嗚尊すさのおのみこと藤原鎌足ふじわらのかまたり平将門たいらのまさかど、清少納言、達が果して同等に驚嘆するかですな
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「蓑笠を著て人の家に入らぬもの」とさとしたのは、素盞嗚尊すさのおのみことの故事により、物事を断られる意に用いる。この蓑笠は『万葉』の古歌にも見えることは前に引いた歌の例でも分る。
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)