紅灯こうとう)” の例文
旧字:紅燈
二輌の車はいきほひよく走せて、やがて当夜の会場帝国ホテルにつき、電灯花瓦はながす昼をあざむき、紅灯こうとうくうにかゝり、晴がましきこと云ふばかりもなき表門をばぐるりと廻りて、脇門わきもんより入りぬ。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
夏のの月まるきに乗じて、清水きよみずの堂を徘徊はいかいして、あきらかならぬよるの色をゆかしきもののように、遠くまなこ微茫びぼうの底に放って、幾点の紅灯こうとうに夢のごとくやわらかなる空想をほしいままにわしめたるは
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)