“築土”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ついじ69.2%
ついぢ15.4%
つくど12.8%
っいじ2.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうして築土ついじのくずれがいよいよひどくなり、ときおり何かの花などを手にした裸か足の童がいまは其処から勝手に出はいりしている様子だった。
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
いずれはここも、洛内進駐軍の一大将の宿所と変っているのだろうが、馬糞だらけにしておくには無残なほど、築土ついじのさまや庭園などもすばらしい。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太郎は、一町いっちょうを隔てて、この大路を北へ、立本寺りゅうほんじ築土ついじの下を、話しながら通りかかる、二人の男女なんにょの姿を見た。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それにそこは川を隔ててすぐ山の木の繁みの見えるところで、家のまわりを取りめぐらした築土ついじの外は田畑が多かった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
間の岳の峰から、北岳まで尾根がつながっていることは、ここで初めて確かめられた、我が三角測量標の下には、窪地があって、そこには雪田が白く塊まっている、一丁ほども歩いたかと思うと、また雪田がある、築土ついじの塀の蔭に、消え残った春の雪のようだが、分量は遥かに多い。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
選んでゐれば、築土ついぢの下か、道ばたの土の上で、饑死うゑじにをするばかりである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
吾がかど築土ついぢはた白薔薇しろうばらおもてへは向かずこなたへと咲く
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
五月雨に築土ついぢくづれし鳥羽殿とばどののいぬゐの池におもだかさきぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
やれ築土ついぢに身を寄せて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
吾がかど築土ついぢはた白薔薇しろうばらおもてへは向かずこなたへと咲く
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
去年の暮れに一しょになって、築土つくどまんに家を持ってやれよかったと思う間もなく、ついに自分が我慢がまんし切れずに、あんな出来事が起ったのである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「奧樣が築土つくど八幡樣へお詣りに行つただけです——え、昨日でしたか、御神籤おみくじを引いたらきようが出たとかで、ひどくしをれてゐらつしやいましたした」
もし何か役目があって、ぜひ行かなければならぬ時には、その前に氏神に理由を告げて、その間だけは氏子を離れ、築土つくどの八幡だの市谷いちがやの八幡だのの、仮の氏子になってから出かけたということであります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
築土つくどの森では木兎ずくが鳴く。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
拙者は築土つくど新吾といい、袴氏とは年来の懇意、先ほどよりして河喜の二階で、広太郎殿と飲食中、ふとご令嬢のお通りを見かけ、広太郎殿の申すには、小松原家のご令嬢、お京様が通られる。甚だもって失礼ではあるが、お差し支えなくばお立ち寄り、お物語りいたしたい。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこの築土っいじ裏から少し行くと、安倍河原あべがわらへ出る。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)