竜頭たつがしら)” の例文
旧字:龍頭
武者絵むしゃえ錦絵にしきえ、二枚つづき三枚つづきの絵も彼のいうがままに買ってくれた。彼は自分の身体からだにあう緋縅ひおどしのよろい竜頭たつがしらかぶとさえ持っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
舌長姥思わず正面にその口をおおう。侍女等忍びやかに皆笑う。桔梗、鍬形くわがた打ったる五枚しころ、金の竜頭たつがしらかぶとを捧げて出づ。夫人と亀姫の前に置く。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仏教の弁財天や諸神王竜王が額や頭に竜蛇を戴く、わが邦の竜頭たつがしらかぶとはこれらから出たものか。
ひつぎ輿こしは、金箔と五色の泥彩で塗られ、大勢のシナ人がかついで行った。刺繍のほうみたいな衣服を着た道士だの祭司がそれをめぐり、前後には、竜頭たつがしらの弔旗やはんが林立してゆく。
それはうるう二月の一日であったが、この日宮家には蔵王堂の御座ぎょざに、赤地の錦の鎧直垂よろいひたたれに、こくばかりの緋縅ひおどしの鎧——あさひの御鎧おんよろいをお召しになり、竜頭たつがしら御兜おんかぶとをいただかれ
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
少しく離れた私のかぶと竜頭たつがしらは、城の天守の棟に飾った黄金のしやちほどに見えようと思う。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)