穂薄ほすすき)” の例文
さつきから野葡萄ばかりさがしてゐた金太きんたがさう云ふと、銀色の穂薄ほすすきで頭をたゝき合つてゐた勇治ゆうぢ庄吉しやうきちとが、すぐ口をそろへて云ひました。
栗ひろひ週間 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
築山陰つきやまかげ野路のぢを写せるこみちを行けば、蹈処無ふみどころなく地をくずの乱れひて、草藤くさふぢ金線草みづひき紫茉莉おしろいの色々、茅萱かや穂薄ほすすき露滋つゆしげ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
見わたす限り人間の手があがって、掴もうとする指が、まるでさざなみのように、ひらいたりとじたりするぐあい、じっと見てると、ちょうど穂薄ほすすきの野を秋風が渡るよう……壮観だ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ポカポカと小春日が照りつけ、銀色に光る穂薄ほすすきが波をうちます。
原つぱの子供会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)