穂芒ほすすき)” の例文
旧字:穗芒
それにただ一面に穂芒ほすすきが茂り連なって見渡す限り銀色の漣波さざなみをたたえていた。実にのびのびと大きな景色である。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
五人の穂芒ほすすきを前に受けた——と、密かに、辻堂の縁を廻ってきた舞鶴の新造は、一段高い足場から、卑怯な欺斬だましぎり——前の敵に気を奪われている伝吉の脳天を狙って
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その都度つど御米は真丸なふちの焼けた銀の月と、絹地からほとんど区別できないような穂芒ほすすきの色をながめて、こんなものを珍重する人の気が知れないと云うような見えをした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帰路は夕日を背負って走るので武蔵野むさしの特有の雑木林の聚落しゅうらくがその可能な最も美しい色彩で描き出されていた。到る処に穂芒ほすすきが銀燭のごとくともってこの天然の画廊を点綴てんていしていた。
異質触媒作用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もう穂芒ほすすきが穂をそろえ、草の波には秋の光がある。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
穂芒ほすすき地震ないに裂けたる山の腹(昭和五年十月、渋柿)
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)