秀真ほつま)” の例文
旧字:秀眞
昼餉ひるげを食うて出よとすると偶然秀真ほつまが来たから、これをもそそのかして、車を並べて出た。自分はわざと二人乗の車にひとり横に乗った。
車上の春光 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
花菖蒲はなしょうぶ及び蝿取撫子はえとりなでしこ、これは二、三日前、家の者が堀切ほりきりへ往て取つて帰つたもので、今は床の間の花活はないけに活けられて居る。花活は秀真ほつまたのである。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
左千夫さちお来り秀真ほつま来りふもと来る。左千夫は大きなる古釜を携へ来りて茶をもてなさんといふ。釜のふたは近頃秀真のたる者にしてつまみの車形は左千夫の意匠なり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
遂に決断して亀戸かめいど天神へ行く事にきめた。秀真ほつま格堂の二人は歩行あるいて往た。突きあたって左へ折れると平岡工場がある。こちらの草原にはげんげんが美しゅう咲いて居る。
車上の春光 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
昨夜も大勢来て居った友人(碧梧桐へきごとう鼠骨そこつ左千夫さちお秀真ほつまたかし)は帰ってしもうて余らの眠りについたのは一時頃であったが、今朝起きて見ると、足の動かぬ事は前日と同しであるが
九月十四日の朝 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
その箱の前に秀真ほつまたる青銅の花瓶の足三つ附きたるありて小き黄菊のつぼみけあり。すぐその横に、蝋石ろうせきの俗なる小花瓶に赤菊二枝ばかりす。総てこの辺の不調和なる事言語道断なり。
明治卅三年十月十五日記事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)