神功じんぐう)” の例文
卑弥呼と混同せられていた神功じんぐう皇后も、最高巫女としての教権をもって、民を統べていられた様子は、日本紀を見れば知られることである。
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
日本書紀にほんしょき神功じんぐう皇后の巻にいわく、「神のおしうることありて曰わく、『和魂にきみたま王身みついでしたがいて寿命みいのちを守らん。荒魂あらみたま先鋒さきなして師船みいくさのふねを導かん」 ...
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
土地の名木神功じんぐう皇后の船留ふなどめ松の根に、埋めてあったのを掘り出した。これに水を盛って飲ませると、疫病その他を治するの効があるといった。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
神功じんぐう皇后さまが、三韓さんかんへご渡海なされた折に、八十そうみつもののうちの第一のみつぎ物がこれじゃといういい伝えじゃが」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木下尚江きのしたしょうこうさんという先生は、日本にすぐれた女性が三人ある、おそれ多いが神功じんぐう皇后様を始め奉り、紫式部、それから九女八だと仰しゃったそうだが——
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
神功じんぐう皇后は神として奉祀ほうしされ、その他の女子も倫理的の価値を以て、それぞれ国民の尊敬を受けています。
「女らしさ」とは何か (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
新井白石あらいはくせきは、『仲哀帝崩論ちゅうあいていほうろん』という論文をのこしている。それによれば、神功じんぐう皇后がたくみに、この事件を始末して、人民の疑いをといているように読まれる。
よすもよさぬも各人思いのままにしてよい事であるのに、満洲占領の頃から百貨店やカフェーの店頭に神功じんぐう皇后や楠公なんこうの人形が飾り出されて旧習復興の有様を呈するようになった。
仮寐の夢 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「いけなくないよ。神功じんぐう皇后さまだって女だぜ。めそめそしちゃ駄目じゃないか。」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
『播磨風土記』に神功じんぐう皇后韓国よりかえり上りたもう時、舂米女いなつきめ等のくぼを陪従おもとびとくなぎ断ちき、故に陰(くぼ)絶ち田と地名を生じたと出るなども同様の故事附けで多くはあてにならぬが
この石は神功じんぐう皇后が三韓征伐のお帰りに、袂に入れてお持ちになった小石が、大きくなったのだといっておりました。(肥後国志。熊本県玉名郡滑石村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
浮流草は詳らかならぬが水流に浮かみ、特に馬が嗜み食う藻などであろう。ホンダワラ一名神馬草、神功じんぐう皇后征韓の船中まぐさに事欠き、この海藻を採って馬に飼うた故名づくと(『下学集』下)。
『日本書紀』神功じんぐう皇后の巻に
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)