祇園藤次ぎおんとうじ)” の例文
制止せいしする目付役めつけやくをふりもぎって、とつぜん、かれのうしろ姿を追いかけた慓悍ひょうかんなる男があった。——これ祇園藤次ぎおんとうじだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いうが早いか、やりを持ちなおして、敢然かんぜん試合場しあいじょうのほうへ帰ってきたが、まだれいもすまないうちに血気けっきばしった祇園藤次ぎおんとうじが、颯然さつぜんとおどりかかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心貫流しんかんりゅう丸目文之進まるめぶんのしんだろう。イヤ、吉岡流よしおかりゅう祇園藤次ぎおんとうじだろう。なアに諸岡一羽もろおかいちうなら慈音じおんとちょうどいい勝負、などと衆人しゅうじん下馬評げばひょうからして、このほう活気かっきが立つ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平常へいぜい、道場の会計や、また奥向きの経済のやりくりは、祇園藤次ぎおんとうじが用人役として、切り盛りしていたのであるが、そのかんじんな藤次は数日前に、旅先で寄せた金を持ったまま
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)