いわ)” の例文
根雪が氷のようにいわになって、その上を雪解けの水が、一冬の塵埃じんあいに染まって、泥炭地でいたんちのわき水のような色でどぶどぶと漂っている。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ヨブのあざけりの言が彼を怒らしたのである。四節にいう「なんじ怒りて身を裂く者よ、汝のためとて地あに棄てられんや、いわあにその処より移されんや」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
波から来る光のあみが、底の白いいわの上で美しくゆらゆらのびたりちぢんだりしました。泡や小さなごみからはまっすぐなかげの棒が、斜めに水の中にならんで立ちました。
やまなし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
思わせ振りを捨てたならば、人生は、意外にも平坦へいたんなところらしい。いわの上に、小さい家を築こう。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そのうちに島の東に在る岬といわの間から、キレイな泉が潮の引いた時だけいているのを見付けましたから、その近くの砂浜の岩の間に、壊れたボートで小舎こやを作って、柔らかい枯れ草を集めて
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
我わがいわなる神に言わん、なんぞ我を忘れ給いしや
これいわの上に建てられたる故なり。
是故に凡て我が此言を聴きて之を行う者はいわの上に家を建し智人かしこきひとに譬えられん、雨降り、大水出で、風吹きて其家をうちたれども倒れざりき、そは磐をその基礎いしずえと為したれば也