まどろ)” の例文
それでも明け方、ようやく窓のあたりが白んでくるのを認めると、何かほっとしたせいか、私はついうとうととまどろんだ。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
取直してこゝろよくさしさゝれつのみたりしが何時しか日さへ暮果くれはてて兩人共睡眠ねむりの氣ざしひぢまくらにとろ/\とまどろむともなしに寢入ねいりしが早三かうころ靱負は不※ふと起上おきあがり其のまゝ爰を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一刻千秋のおもいで待構えまする内に疲れたせいか、我にもあらずそろそろとまどろみましたと見えて、目が覚めると、月のは変り、山のに晴々しいあさひ、草木の露は金色こんじきちりばめておりました。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふとまどろんでから目をあけてみると、私の前に若い夫婦がひそひそと語っていた。顔を見るとヤナツ夫妻だったが、その身体は蛙の子のように小さくはない、普通の人間と変りない大きさだった。
それでも明け方、漸く窓のあたりが白んでくるのを認めると、何かほっとしたせいか、私はついうとうととまどろんだ。
楡の家 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
助十と聞ば知れるにちがひなしと其夜は河岸にいし材木ざいもく積置つみおきし處へゆき寄凭よりかゝりて少しまどろまんとするに知らぬ江戸といひ此所こゝは如何なる處やらんもしとがめられなば何と答んと心を苦しめ夜の明るを待事まつことしう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)