眼鼻立めはなだ)” の例文
手振り身振りのあざやかさと、眼鼻立めはなだちのキリヽとして調とゝのつたのとは、町中の人々を感心さして、一種のそねみとにくしみとを起すものをすら生じた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
眼鼻立めはなだちも同じやうにとゝのつてゐた。けれども彼女の表情には、何處となく打ち解けない所があり、態度にもしとやかなうちにいくらか隔てがあつた。
かみはまだおろさないで、金襴きんらん染絹そめぎぬの衣、腺病質せんびょうしつのたちと見え、き通るばかり青白いはだに、切りみ過ぎたかのようなはっきりした眼鼻立めはなだち、男性的なするどい美しさを持つ青年でした。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それからおかおは、どちらかといえばしもぶくれの面長おもなが眼鼻立めはなだちのうち何所どこかがとくてていともうすのではなしに、どこもかしこもよくととのった、まことに品位ひんいそなわった、立派りっぱ御標致ごきりょう
少年はいい絹ものらしい着物を無造作に着て、眼鼻立めはなだちの揃った顔を自然に放置していた。いくら写真を撮し慣れた人でも、これくらい写真機に対して自然に撮させた顔もすくなかろう。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)