相見あいまみ)” の例文
久方ぶりに相見あいまみえる餅菓子、どら焼・ようかん・金つばの類が硝子ガラス器のうえにほとんど宗教的尊崇をもってうやうやしく安置してある。
されば、その根本的精神の如何いかんによりて、経済戦争というその語の中には、既に干戈かんか相見あいまみゆる戦争なるものの意義が潜在しているのである。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
初め助太郎とかなとは、まだかなが藍原右衛門うえもんむすめであった時、穴隙けつげきって相見あいまみえたために、二人は親々おやおやの勘当を受けて、裏店うらだなの世帯を持った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
又、死骸となって相見あいまみえるであろう家来共に、やはり最期には心が乱れたかと思われては恥かしい。健気けなげな妻にも、こう結んだぞと、見せて欲しい。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……吾輩は満天下の新人諸君と、この銀幕上に於て相見あいまみゆる事を生涯の光栄とし、かつ、無上の満足とする者である。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いやとびつきたい程の思であるが、上官の亡骸なきがらに、生きて相見あいまみえることは部下として忍びないものがあった。
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けだし旗鼓きこ相見あいまみゆるの日においては彼の富は彼をしてよく我にまさるの海陸軍を備えしむるを得るものなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
将門が妻となし得たものがあつてそれから伯父と弓箭きゆうせんをとつて相見あいまみゆるやうにもなつたのであるらしい。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
秘奥が見えそめて来ると、疑わしい狡猾こうかつな「打ち建てられたる秩序」は脅かされるに至った。それは最高の革命的徴候である。権力の下心は対濠たいごうのうちにおいて民衆の下心と相見あいまみゆる。
梶川少年は、仲間小者ちゅうげんこものとなる覚悟を以て、銀杏加藤の奥方を助け、病友が要求する三カ月の期限以内に必ず目的を達して、九州へ下って相見あいまみえるということを誓約的に断言したのです。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
文珠問経の戒法にのっとって百戒の戒相を保ち、四不浄食に堕せず、托鉢した清浄なもの以外には食わぬこと、日本人としての一切の地縁と血縁を放下し、今生では父母兄弟師友と相見あいまみえないこと
新西遊記 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ついに明治十年には互いに兵火の間に相見あいまみゆる人たちであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
時にきわどい摩擦まさつを起こすし、全戦局をあやまるような危険もなしとはしないが、さりとて、この気魄きはくもないような気魄では、敵と相見あいまみえても、直ちに、霊魂そのものとなって
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(再びなんじ相見あいまみえることを得るかどうか)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初めて、お互いに、相見あいまみえたのである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)