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なまごろ
ふりがな文庫
“
生殺
(
なまごろ
)” の例文
こいつと見こんだら決して
遁
(
のが
)
さない——
噛
(
か
)
ぶりついてもあいてを屈伏させる——また、
生殺
(
なまごろ
)
しにはしておかない、徹底的に、やるまでやる。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの場合、ゆき子の感情を
生殺
(
なまごろ
)
しのまゝでやり過した、自分の疲れかたは、只事ではないやうな気もして来る。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「こんなにスローモーションでは
堪
(
たま
)
りません。
蛇
(
へび
)
の
生殺
(
なまごろ
)
しというものです。それというのも、お雪さんの心がぐらついているからです。わたしは死にます。」
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一方を無事に死なしておいて、一方を助けて生かしておくのは、蛇の
生殺
(
なまごろ
)
しより、もっと
酷
(
むご
)
いことである。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いよいよ
胸
(
むね
)
わるく
憎
(
に
)
くらしく
思
(
おも
)
ひ、
然
(
しか
)
るべき
縁
(
えん
)
にもつけず
生殺
(
なまごろ
)
しにして、
他處目
(
よそめ
)
ばかりは
何處
(
どこ
)
までも
我儘
(
わがまヽ
)
らしき
氣隨
(
きずゐ
)
ものに
言
(
い
)
ひ
立
(
た
)
て、
其長
(
そのなが
)
き
舌
(
した
)
に
父君
(
ちヽぎみ
)
をも
卷
(
ま
)
き
込
(
こ
)
みしか
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
求めるこころも愛憎も、人に負けまい、勝負のこころも、みんな
生殺
(
なまごろ
)
しのままで残されてゐるではないか。身体が、周囲が、もう、それをさせなくなつてしまつたまでだ。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「蛇の
生殺
(
なまごろ
)
しということがありますが、蛙の生殺しということは聞きません」
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
食すべき「たのみ」の
餌
(
えさ
)
がないから、蛇奴も
餓死
(
うえじに
)
に死んでしまいもしようが、
憖
(
なまじい
)
に
卯
(
う
)
の花くだし
五月雨
(
さみだれ
)
のふるでもなくふらぬでもなく、
生殺
(
なまごろ
)
しにされるだけに蛇奴も苦しさに堪え
難
(
か
)
ねてか
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
だって、このままじゃ、
蛇
(
へび
)
の
生殺
(
なまごろ
)
しみたいで、気が落着かないじゃないか
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
つまり一
寸
(
すん
)
だめし五
分
(
ぶ
)
だめし、蛇の
生殺
(
なまごろ
)
しに類する、比類なき残虐だ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それなのに、いちどの喚問さえなく、おれを
生殺
(
なまごろ
)
しにしておくこの処置は、いったいどういう幕府のはらなのか。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
生殺
(
なまごろ
)
し……また息を吹き返して、二重の生恥をさらすようなことはございますまいね」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのこともなく、殿が、御出仕あれば、
寵
(
ちょう
)
を示され、
公卿輩
(
くげばら
)
が、
嫉
(
そね
)
み出すと、見えすいた陰謀も、知らぬお顔というのでは、殿が、
生殺
(
なまごろ
)
しというものだぞやい
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは蟻が一生懸命で
生殺
(
なまごろ
)
しの
虻
(
あぶ
)
に取りついているように、ズルズルと引張っては、またはなしてしまい、また引張っては離れ、離れては引張り、引張っているうちに自分の腰が砕け
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
殺
常用漢字
小5
部首:⽎
10画
“生殺”で始まる語句
生殺与奪
生殺與奪