“物哀”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ものがな40.0%
ものあわれ26.7%
ものあわ13.3%
ものあは6.7%
ものあはれ6.7%
ものかな6.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは耳をそばだてて胡弓の声にきき入り、そののんびりしたような、また物哀ものがなしいような音色ねいろを味わっていた。木之助は一心にひいていた。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
振乱す幽霊の毛のように打なびく柳のかげからまたしても怪し気なる女の姿が幾人いくたりと知れず彷徨さまよで、何ともいえぬ物哀ものあわれな泣声を立て
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
赤、黄、緑、青、何でも輪郭の顕著なる色彩を用い、悠々ゆうゆうたる自然や、黙静もくせいの神秘を物哀ものあわれに写す力があったのがの人の特長である。
何処どこか近くの家で百萬遍ひやくまんべん念仏ねんぶつとなへ始める声が、ふと物哀ものあはれに耳についた。蘿月らげつたつた一人で所在しよざいがない。退屈たいくつでもある。薄淋うすさびしい心持こゝろもちもする。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それに反して日陰の薄暗い路地はあたかも渡船の物哀ものあはれにして情味の深きに似てゐる。式亭三馬しきていさんば戯作浮世床げさくうきよどこの挿絵に歌川国直うたがはくになほが路地口のさまを描いた図がある。
路地 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
物哀ものかなしい日。田圃向うに飴屋あめやが吹く笛の一声ひとこえ長く響いて、はらわたにしみ入る様だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)